歯医者が苦手な方へ。香りと呼吸で通院前の緊張をやわらげる

2026/08/10

歯科医院に一歩入った瞬間、あの独特の匂いで身構えてしまう。そんな経験のある方は少なくないと思います。実はあの匂いには正体があり、そして緊張をやわらげる方法もあります。

こんにちは。松山中平歯科クリニックの中平賢吾です。私は歯科医師であると同時に、アロマテラピー1級の資格を持っています。香りと歯科治療は一見関係がなさそうですが、実はとても相性のよいものなのです。今回は、歯医者が苦手な方に知っておいていただきたいお話をします。

目次

「歯医者の匂い」の正体
匂いと記憶は、脳の中で直結しています
香りにはそれぞれ働きがあります
通院前にご自宅でできること
香りを使うときの注意点
まとめ:不安はゼロにできなくても、コントロールはできます

「歯医者の匂い」の正体

多くの方が思い浮かべるあの独特な匂いは、根の治療をするときに使うお薬の匂いです。かなり強い匂いで、これが「歯医者さんの匂い」として皆さんの記憶に定着してきました。

歯医者の匂いの正体が根の治療に使うお薬であり、最近は使用が減っていることを示した図
匂いで身構えてしまう方は少なくありません

実はそのお薬自体、最近では使われることが少なくなってきています。ですから、強烈な匂いはだいぶ減ってきているのです。

それでも、歯科医院は怖い、緊張するというイメージに、あの匂いが深く関わっていることは間違いありません。院内に入って匂いを感じただけで身構えてしまうという方は、実際にとても多くいらっしゃいます。

小さい頃の記憶が残っていて、大人になってからも足が向かないという方もいらっしゃいます。これは気持ちの持ちようの問題ではなく、脳の仕組みによるものですから、気合いで乗り切ろうとしなくて大丈夫です。

匂いと記憶は、脳の中で直結しています

なぜ匂いだけでそこまで緊張してしまうのか。それは、嗅覚が脳の感情や記憶と直結しているからです。

匂いが嗅細胞から脳に届き、感情や記憶を呼び起こす流れを示した図
香りは安心のスイッチにもなります

嗅細胞は脳神経のひとつで、鼻は脳に直接つながっているようなものです。ですから匂いを嗅ぐと、その情報は脳へまっすぐ届きます。「この匂いはあの場所」という結びつきが、瞬間的によみがえるわけです。

ただ、これは裏を返せば、香りは安心のスイッチにもなるということです。痛みそのものは同じでも、怖さが下がるだけで、処置の受け止め方は変わってきます。

香りにはそれぞれ働きがあります

香りには、それぞれ異なる働きがあるといわれています。ラベンダーはリラックス効果があるとされ、眠るときによく使われます。

ラベンダー、オレンジスイート、ティーツリーの香りの特徴を並べた図
ご自身が心地よいと感じる香りがいちばんです

オレンジスイートは、前向きで明るい気持ちになれるような香り。ティーツリーは、清涼感や清潔感のあるイメージの香りです。

当院ではこうした香りを組み合わせて、気持ちを落ち着けて治療を受けていただける環境づくりに役立てています。歯科医院特有の匂いをなるべく感じさせないように、という心がけでもあります。

最近はご家庭でも、お部屋ごとに香りを変えて楽しんでいらっしゃる方が増えました。ご自身が心地よいと感じる香りがあれば、それを通院前に使っていただくのがいちばんです。好きな香りだと思えるだけでも、体はゆるみます。

通院前にご自宅でできること

歯科医院に来る前の段階で、緊張を和らげておくこともできます。とても簡単な方法をご紹介します。

ティッシュに精油を垂らし、4秒吸って6秒吐く呼吸を5回くり返す手順を示した図
精油がなければ呼吸だけでも構いません

ティッシュにラベンダーの精油を1滴垂らして、近くに置いてください。そのうえで、鼻から4秒ほどかけてゆっくり息を吸い、6秒かけて口からゆっくり吐きます。これを5回繰り返すだけで、呼吸が整い、気持ちが落ち着いていきます。

緊張すると呼吸は浅くなります。ゆっくりと深呼吸をすることそのものに効果がありますので、精油がお手元になければ、呼吸だけでも構いません。

当院では、麻酔の前や、長い処置の合間の休憩のタイミングで香りを取り入れることもあります。体と心の切り替えがスムーズになるように、という意図です。

処置が2時間、長い場合は半日近くに及ぶこともあります。そうしたときは途中で一度休憩を挟み、そのタイミングで香りを取り入れると、体と心の切り替えがスムーズになります。

香りを使うときの注意点

香りには好き嫌いがありますし、使い方には注意も必要です。

香りを使うときに気をつけたい3つの注意点を挙げた図
当てはまりそうな方は事前にご確認ください

まず、香りが強すぎると、かえって気分が悪くなってしまうことがあります。ほんの少しで十分に届きますので、量は控えめにしてください。

また、妊娠中の方や持病をお持ちの方は、避けたほうがよい香りもあります。小さなお子さんやペットがいるご家庭でも、吸いすぎがよくない場合があります。ご自身に当てはまりそうな場合は、事前にご確認のうえ、安全第一でお使いください。

まとめ:不安はゼロにできなくても、コントロールはできます

当院では一口腔単位の包括的な治療を大切にしています。1本ずつの歯ではなく、お口全体をひとつの単位として考える治療です。

香り、呼吸、姿勢、歯科医師との信頼関係という不安を和らげる4つの工夫を示した図
不安をゼロにはできなくても、和らげることはできます

ただ、そうした治療はどうしても長くなります。1年がかり、2年がかりということもありますから、安心してリラックスして通っていただける環境づくりにも力を入れています。香りもそのひとつです。

不安をゼロにすることは、正直なところ難しいと思います。それでも、香り、呼吸、姿勢という工夫で、上手にコントロールすることはできます。そして何より大切なのは、歯科医師との信頼関係です。歯科医院が苦手な方こそ、一度ご相談いただければと思います。

どうしても不安が強いという方には、静脈内鎮静法という選択肢もあります。まずは無料カウンセリングでご不安な点をお聞かせいただければ、そのうえで進め方をご相談できます。

松山市駅から徒歩2分の当院では、歯医者が苦手な方にも安心して通っていただけるよう心がけています。ご予約はお電話のほか、WEB予約からも承っております。

執筆者:松山中平歯科クリニック 中平賢吾