歯科治療も医療費控除の対象です。対象と申告の注意点

2026/09/10

これから年末にかけて、確定申告という言葉を目にする機会が増えてきます。歯の治療をお考えの方の中には、費用のことが気にかかって、なかなか一歩を踏み出せずにいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

こんにちは。松山中平歯科クリニックの中平賢吾です。私は歯科医師であると同時に、FP2級(ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を持っています。今回はその知識を生かして、歯科治療と医療費控除についてお話ししていきます。ご存じない方が意外と多い制度ですが、知っているかどうかで負担が変わってきます。

目次

医療費控除とはどんな制度か
歯科治療で対象になるもの
対象にならないものもあります
控除には上限があります
申告のときに気をつけたいこと
まとめ:制度を知って、健康とお金の両方を守る

医療費控除とはどんな制度か

医療費控除とは、1年間に支払った医療費が10万円、もしくは所得の5%を超えたときに、確定申告をすることで税金が戻ってくる制度です。

年間の医療費が10万円か所得の5%を超えると、確定申告で税金が戻る医療費控除のしくみを示した図
歯科治療の費用も対象になります

この医療費には、歯科治療の費用も含まれます。「歯医者さんは対象外なのでは」と思われている方がいらっしゃいますが、そんなことはありません。歯の治療も、体の治療と同じように対象になります。

年間10万円以上の医療費というと、お若い方にはあまり縁がないかもしれません。実際、大きな治療を受ける機会がなければ、一度も使ったことがないという方がほとんどだと思います。

ただ、こういう制度があるということを知っておいていただくだけでも、いざというときに大切なお金を無駄にせずに済みます。戻ってくるものなら戻ってきたほうが嬉しいですよね。

歯科治療で対象になるもの

まず、虫歯の治療や歯周病の治療といった保険診療は対象になります。そして、インプラント入れ歯などの自費診療も対象です。金額が大きくなりやすいのは、むしろこちらのほうでしょう。

保険診療、自費診療、通院の交通費、お子さんの矯正治療が医療費控除の対象になることを示した図
金額が大きくなりやすいのは自費診療です

見逃されがちなのが、通院のためにかかった公共交通機関の費用です。バスや電車で通われた分も、医療費として含めることができます。

また、お子さんの矯正治療も対象になります。成長のために必要と判断される矯正は、治療として扱われるためです。

インプラントや入れ歯、お子さんの矯正といった治療は、どうしても金額が大きくなります。だからこそ、この制度を知らないままでいるのは惜しいと思うのです。

対象にならないものもあります

一方で、対象にならないものもあります。審美目的のホワイトニング、そして審美目的の矯正治療です。歯ブラシやデンタルフロスといった日用品の購入費も対象外になります。

医療費控除の対象になる歯科治療と、対象外になる審美目的の治療や日用品を比べた図
分かれ目は治療かどうかです

分かれ目になるのは、それが治療なのか、治療ではないのかという点です。見た目を美しくすることが主な目的であれば、医療費控除の対象にはならないとお考えください。

同じ矯正治療でも、お子さんの成長のために必要なものと、大人の方が見た目を整えるために受けるものとでは扱いが変わってきます。ご自身のケースがどちらにあたるか迷われたときは、後述するように税務署にご確認いただくのが確実です。

控除には上限があります

意外と知られていないのですが、医療費控除には上限があります。年間200万円までが対象で、これを超えた分については控除されません。

医療費控除の対象になる医療費の上限が年間200万円であることを示した図
実際に戻る額は所得に応じた税率で変わります

ただし、200万円分がそのまま戻ってくるという意味ではありません。控除される額は所得に応じた税率によって変わりますので、実際にいくら戻るかはお一人おひとり違ってきます。

細かい計算については国税庁のホームページにも掲載されていますし、分からないことがあれば税務署にお尋ねいただくのが確実です。

申告のときに気をつけたいこと

まず、領収書や明細書は必ず保管しておいてください。これがないと申告ができません。

領収書の保管、会社員の確定申告、5年さかのぼれること、税務署への相談という4つの注意点を示した図
迷ったら自己判断せず税務署へご相談ください

そして、特に会社にお勤めの方に気をつけていただきたいのが、年末調整とは別に確定申告が必要になるという点です。会社で年末調整をしていただいていても、医療費控除を使うには、ご自身で確定申告をしなければ適用されません。ここは非常に大きな注意点です。

なお、申告は5年間さかのぼって行うことができます。過去に大きな治療を受けたのに申告していなかったという方は、一度確認してみる価値があります。

細かいところで「これはどうなんだろう」と迷われることも出てくると思います。そうしたときは、自己判断で決めてしまわず、税務署にご相談ください。相談に応じていただけますし、そのほうが正確です。

まとめ:制度を知って、健康とお金の両方を守る

当院は自費診療を中心に治療を行っております。費用について不安をお持ちの方には、医療費控除の仕組みも含めて丁寧にご説明しておりますので、安心してご相談ください。

歯科治療も対象、審美目的は対象外、上限は年間200万円、領収書を保管して確定申告という要点をまとめた図
制度を知って、健康とお金の両方を守りましょう

私は、歯の治療は出費ではなく、未来への投資だと考えています。一口腔単位でお口全体を整えておけば、その後に治療を繰り返す負担も少なくて済みます。こうした制度を上手に活用しながら、健康とお金の両方を守っていただければと思います。

費用が気になって治療をためらっていらっしゃる方は、医療費控除という方法があることを、ぜひ知っておいてください。ご不明な点は、お気軽に当院までご相談ください。

当院で行っている治療の費用については、ホームページの費用についてのページにも掲載しております。ご検討の際の参考になさってください。

松山市駅から徒歩2分の当院では、治療の費用や医療費控除についてのご相談もお受けしています。ご予約はお電話のほか、WEB予約からも承っております。

執筆者:松山中平歯科クリニック 中平賢吾

お口の大掃除。歯科メインテナンスで落とす汚れと分かること

2026/09/07

お家の中は季節ごとに片づけていても、お口の中の大掃除まで意識されている方は、そう多くないのではないでしょうか。実はお口の中にも、少しずつ蓄積していく汚れがあります。

こんにちは。松山中平歯科クリニックの中平賢吾です。今回は「お口の大掃除」、つまり歯科医院で行うメインテナンスについてお話ししていきます。何を落としているのか、そのとき何を診ているのか。意外と知られていない部分をご紹介します。

目次

毎日磨いていても、落としきれない汚れがあります
歯科のメインテナンスでは何をしているのか
きれいにするだけではありません
どのくらいの頻度で受ければよいか
笑顔のメインテナンスという考え方
まとめ:お口のメインテナンスは、人生のメインテナンス

毎日磨いていても、落としきれない汚れがあります

毎日きちんと磨いていらっしゃる方でも、歯ブラシでは落としきれない汚れがあります。

歯石、バイオフィルム、着色汚れという歯ブラシでは落としきれない3つの汚れを並べた図
少しずつ、気づかないうちに蓄積していきます

代表的なものが、歯と歯の間の歯石、バイオフィルムと呼ばれる細菌の膜、そしてコーヒーやお茶などによる着色汚れです。これらは一日で溜まるものではなく、少しずつ、気づかないうちに蓄積していきます。

歯石は一度ついてしまうと、ご自宅の歯ブラシでは取れません。バイオフィルムも同じで、細菌が膜のように歯の表面を覆っているため、うがいや歯みがきでは流れ落ちてくれないのです。

だからこそ、年に数回はプロによるクリーニングで落としていただくことが、歯ぐきの健康を保つうえでとても大切になります。ご自宅のケアとプロのケアは、どちらか一方では足りず、両方あって初めて十分になるとお考えください。

歯科のメインテナンスでは何をしているのか

歯科医院のメインテナンスでは、専用の器具を使って歯石やバイオフィルムを除去し、歯の表面を磨き上げていきます。

歯石とバイオフィルムの除去、着色汚れの除去、歯の表面の磨き上げという手順を示した図
表面がなめらかになると汚れがつきにくくなります

表面がなめらかに整うと、その後の汚れもつきにくくなります。つまり、その場をきれいにするだけでなく、次に汚れが溜まるまでの時間を延ばす意味もあるのです。

これによって、虫歯歯周病のリスクを大きく減らすことができます。口臭の予防という点でも効果があります。

着色汚れについても、専用の器具で落としていきます。コーヒーやお茶、赤ワインなどをよく召し上がる方は、つきやすい傾向があります。ご自身では気になっていた変色が、クリーニングで改善することも少なくありません。

きれいにするだけではありません

メインテナンスの価値は、汚れを落とすことだけではありません。同時に、噛み合わせ、歯ぐきの状態、虫歯の有無もあわせて確認していきます。

噛み合わせ、歯ぐきの状態、虫歯の有無、前回との比較という4つの確認項目を示した図
小さなトラブルのうちに見つけることが大切です

この「ついでに診る」部分が、実はとても大きな意味を持ちます。小さなトラブルの段階で見つけられれば、結果的に大きな治療になることを防げるからです。

歯周病は、痛みが出ないまま進んでいくことが多い病気です。ご自身では気づけないからこそ、定期的に歯ぐきの状態を測って記録し、前回と比べていくことに意味があります。

痛みが出てから来院された場合、すでに治療の選択肢が限られていることがあります。まさにお口の健康診断として、症状のないうちに受けていただきたいと思います。

どのくらいの頻度で受ければよいか

目安としては、3か月から4か月に1回程度です。年に3回から4回とお考えいただくとよいでしょう。

メインテナンスを受ける間隔の目安が3か月から4か月に1回であることを示した図
適切な間隔は歯周病の状態や生活習慣で変わります

ただし、これはあくまで目安です。歯周病の状態や、汚れのつきやすさ、生活習慣によって、適切な間隔は変わってきます。ご自身に合った間隔については、受診の際にご相談ください。

毎年12月はメインテナンスのご予約が大変混み合います。年末に大掃除をされる方が多いのと同じで、お口も一年の区切りで整えたいというお気持ちなのだと思います。ただ、お口の汚れは季節を選びません。混み合う時期を避けて、ご都合のよいときに定期的に受けていただくほうが、結果としては続けやすいはずです。

笑顔のメインテナンスという考え方

当院では、メインテナンスの際にRayfaceという顔面スキャナーを活用して、お顔全体のバランスや笑顔の見え方を確認することもできます。

笑ったときの歯の見え方、口角の高さの左右差、お顔全体のバランスを確認することを示した図
記録を残すと、以前の形の再現にも役立ちます

笑ったときにどのくらい歯が見えるか、口角の高さが左右で揃っているか。こうしたお口の表情のトータルチェックを行っています。

こうした記録を残しておくことには、思わぬ利点があります。たとえば事故で歯を失われたようなとき、「以前の前歯がよかった」と思われることがあります。デジタルのデータとして残しておけば、ほとんど同じ形で再現することができるのです。歯を磨くだけでなく、笑顔のメインテナンスとしてもおすすめしています。

まとめ:お口のメインテナンスは、人生のメインテナンス

お口の中がきれいになると、自然と笑顔も明るくなります。歯のケアは、健康と見た目の両方を整える大切な習慣です。

毎日の歯みがきと年に数回のプロのケアが、10年後、20年後のお口を守ることを示した図
毎日の習慣にプロのケアを足すだけで、将来が変わります

新しい年や新しい季節の区切りに合わせてお口をリセットすると、それだけで気持ちが明るく切り替わるように感じます。歯を磨くという毎日の習慣に、年に数回のプロのケアを足すだけで、10年後、20年後のお口はずいぶん変わってきます。

そして、お口が健康だと自然に笑顔が増え、人との関わりも前向きになっていきます。歯のメインテナンスは、実は人生のメインテナンスでもあると私は考えています。

お家の片づけが一段落したら、ぜひお口のことも思い出してみてください。松山市駅から徒歩2分の当院では、年間を通じてメインテナンスを行っています。ご予約はお電話のほか、WEB予約からも承っております。

執筆者:松山中平歯科クリニック 中平賢吾