MICROSCOPE

マイクロスコープとは

マイクロスコープは医療機関でいう手術用の顕微鏡です。
肉眼の3倍から25倍の視野を拡大できるため、より精密かつ正確な治療が可能となります。
マイクロスコープは眼科や脳神経外科の手術用としても使われていますが、歯科医療においても非常に有用です。
とはいっても、どの医療機関でも使われているというものではなく、日本での導入率は5%以下というのが実情です。アメリカでは根の治療を行う歯内療法において、マイクロスコープの使用が義務づけられています。

歯科医療は細菌感染が相手の仕事です。
小さな虫歯や感染部分を取り残すことで、再発を繰り返してしまうケースも少なくありません。
再発防止のためにもミクロン単位での正確性が求められる中、マイクロスコープの必要性は言わずもがな高まっています。
歯科治療では、歯科医の勘と経験に頼らざるを得ないケースもありますが、そこにマイクロスコープが加わることで、より精密かつ正確な歯科治療を行うことができます。

歯科治療におけるマイクロスコープの
メリット

マイクロスコープを使用した歯科治療には次の5つのメリットがあります。

1.治療部位を明るく拡大できるので、感覚に頼らない確実な治療が可能

経験や勘に頼ることも多い歯科治療の中で、それだけでは治療が難しいケースも少なくありません。患部が見えにくく、治療箇所が微妙にずれるケースもあります。その場合、健康な歯を削ってしまうこともあります。しかし、マイクロスコープを使用することにより、精密な治療が可能になります。
何よりも患部の状態を正確に捉えることができるのが一番のメリットです。それによって、患者さまの肉体的・精神的な負担を最小限に抑えることができます。

2.治療の可能性が広がる

むし歯ができていたとしても痛みなどの自覚症状がない場合、視認できなければむし歯を見逃してしまうこともあります。マイクロスコープを使用することで、確実にむし歯を確認できるようになるので、これまで治せなかった部分を治せるようになるメリットは計り知れません。

3.再治療を減少させる

マイクロスコープを使用することで視認性が上がり、見落としや見逃しが少なくなり、さらに治療の精度が上がります。それによって、無駄な治療や不完全な治療の減少もメリットと言えます。視認性が悪いと、ピンポイントでむし歯治療を行いたいのに、健康な部分も削ってしまうこともよくあるからです。マイクロスコープでは治療部位を拡大することができるので、細部を鮮明に拡大描写できるので、効率の良い歯科治療が可能になります。

4.痛みが少なく、治りが早い

治療部位を拡大することで、より精密にピンポイントでの治療が可能になります。そのため、削る部分が少なくて済むので、健康な歯を最大限に残すことができます。その他にも、治療時の痛みや腫れを抑えることができます。傷口も小さくなるので、治癒も早くなるメリットもあります。

5.治療の記録が可能

マイクロスコープで映し出す映像は、カメラを経由することでデジタルデータとして保存が可能となります。これは、患者さまにどのような治療をしたかを確認してもらうことができ、研修医等の教育の面でも非常に役立つデータとなります。根幹治療における大学教育もこれによって大きく変化しました。

マイクロスコープに有効な歯科治療

■ 根管治療(歯の神経の治療)

マイクロスコープがもっとも活躍する場面は根幹治療です。
歯の根の治療や歯の神経の治療では、より精密な治療が必要となります。
従来では、歯科医のテクニックや勘といった長年の蓄積された経験に頼っていましたが、マイクロスコープを使用することで、テクニックや勘に視認性が加わり治療の正確性が格段に上がりました。

■ むし歯の治療

むし歯の部位を拡大することで視認性が良くなり、必要最小限のむし歯の除去で済むため、治療時間の短縮と、なにより健康な歯を削ることがなくなりました。
肉眼での治療では、ギャップ(隙間)ができやすく、そこから2次むし歯になりやすい傾向がありました。マイクロスコープを使用することでギャップを見逃すことなく、精密に詰め物ができるので、2次むし歯の発生を防ぐことができます。

■ 歯周病の治療

マイクロスコープは歯周病の治療にも役立っています。
歯周病が進行すると、歯と歯ぐきの間の深い部分に、歯石や歯周病菌が広がってしまいます。
結果として、歯のぐらつきや歯が抜け落ちてしまうことも少なくありません。
そのため、早期に歯周病菌を除去する必要があるのですが、そこでマイクロスコープが活躍します。
肉眼では見えにくかった歯周病菌の広がりをしっかりキャッチすることができるので、確実に歯周病菌を除去し、歯周病の進行を抑え、完治につなげることができます。

■ 審美歯科治療

審美歯科治療の目的は、見た目の良さを追究する部分がほとんどです。
そのためには、より自然な見た目になるように生体と調和する治療が必要となります。
セラミックなどの被せものや詰め物もより正確性が必要となり、ミクロン単位での正確さが求められることもあるため、マイクロスコープが有用となります。