歯ブラシで落ちる汚れは6割。フロスと歯間ブラシの使い分け

2026/08/03

毎日きちんと磨いているのに、どうして虫歯や歯周病になってしまうのか。診療の場でよくいただくご質問です。実はその原因の多くが、歯ブラシだけでは落としきれない汚れが残っていることにあります。

こんにちは。松山中平歯科クリニックの中平賢吾です。今回は、歯ブラシだけのケアがなぜ不十分なのか、そしてデンタルフロスや歯間ブラシをどう使い分ければよいのかについてお話ししていきます。今日から始められることばかりですので、ぜひ最後までお読みください。

目次

歯ブラシで落とせる汚れは全体の約6割
フロスと歯間ブラシ、どう使い分けるか
電動歯ブラシは「当てるだけ」では不十分
お子さんの歯みがきで気をつけたいこと
意外と知られていない「磨くタイミング」
まとめ:プラス1の習慣と、定期的なプロのケア

歯ブラシで落とせる汚れは全体の約6割

歯ブラシで落とせる汚れは、全体の約6割といわれています。つまり、どれだけ丁寧に磨いても、4割は残ってしまう計算になります。

歯ブラシだけで落とせる汚れは全体の約6割で、残りは届きにくい場所に残ることを示した図
残りの約4割は歯と歯の間などに残ります

特に届きにくいのが、歯と歯の間、歯ぐきとの境目、そして奥歯の裏側です。このあたりは歯ブラシの毛先がどうしても入っていきません。

私自身、臨床をしていて実感するのですが、虫歯になりやすい場所は歯と歯の間が圧倒的に多いのです。つまり、歯ブラシがいちばん届きにくいところが、いちばん虫歯になりやすいということになります。

「毎日ちゃんと磨いています」という方ほど、この事実を知って驚かれます。磨き方が悪いのではなく、道具の性質上どうしても届かない場所がある、ということなのです。

フロスと歯間ブラシ、どう使い分けるか

残りの4割を落とすために登場するのが、デンタルフロスと歯間ブラシです。ところが日本では、これらを使っている方が2割ほどしかいらっしゃいません。アメリカでは7割から8割の方がフロスを使っているといわれますから、その差は大きなものです。

デンタルフロスが向く場合と歯間ブラシが向く場合を左右に比べた図
迷ったときは受診の際にご相談ください

使い分けの目安をお伝えします。フロスを通したときに引っかかる、抵抗を感じるという方は、歯と歯が接している状態ですので、フロスが向いています。

逆に、フロスを通しても抵抗がなくスカスカだという方、また歯ぐきが下がって歯と歯の間の隙間が大きくなっている方は、歯間ブラシのほうが使いやすいでしょう。ご自身がどちらか分からないときは、受診の際にお尋ねください。

電動歯ブラシは「当てるだけ」では不十分

電動歯ブラシについてもよく聞かれます。私自身も使っていますが、正しく使えばとても効果的です。特に、手の動きが不自由な方、ご高齢の方、磨き残しが多い方にはおすすめできます。

電動歯ブラシが特に向いている方を3つ挙げた図
当て方や磨く時間は製品ごとに異なります

ただし、当てるだけで完璧になるわけではありません。メーカーによって適した当て方や磨く時間が違いますので、その製品に合った使い方を意識していただくことがとても大切です。

電動だから手を抜いてよい、ということではないのですね。どこに毛先が当たっているかを意識できるかどうかで、仕上がりは大きく変わってきます。

お子さんの歯みがきで気をつけたいこと

お子さんの場合は、電動ではなく手を動かして磨くことを基本にしてください。小さいうちに手の動かし方そのものを覚えることが、その後ずっと役に立ちます。

お子さんの歯みがきで気をつけたい3つのポイントを示した図
磨き方は年齢や歯並びによって変わります

気をつけていただきたいのが、六歳臼歯とも呼ばれる第一大臼歯です。生えてくる途中の時期は、上からまっすぐ歯ブラシを当てても毛先が届きません。横から入れて、噛み合わせの面にしっかり当てるようにしてください。

歯並びがガタガタしているところは、横磨きだけでなく縦に動かす必要が出てくることもあります。磨き方は年齢や生え変わりの状態、歯並びによって変わります。ご自身やお子さんに合った磨き方が分からないときは、歯科医院で指導を受けていただくのがいちばん確実です。

意外と知られていない「磨くタイミング」

食後すぐには磨かないほうがよい、と聞いたことのある方も多いと思います。これは条件付きで正しい話です。

酸性の飲食の後と甘いお菓子の後で、歯みがきのタイミングが違うことを比べた図
何を食べたかによってケースバイケースです

柑橘類や炭酸飲料など、酸性のものを口にした直後は、歯の表面が一時的に柔らかくなっています。この状態ですぐにゴシゴシ磨くと、エナメル質が削れてしまう可能性があります。まず軽くうがいをしてお口の中を中性に戻し、20分から30分ほど経ってから磨くのが理想的です。

一方で、甘いものや粘着性の高いお菓子を食べた後は、比較的すぐに磨いたほうがよい場合もあります。何を食べたかによって変わりますので、ケースバイケースとお考えください。

まとめ:プラス1の習慣と、定期的なプロのケア

ご家庭でどれだけ丁寧に磨いても、落とせない汚れがあります。歯の表面にはバイオフィルムという細菌の膜ができ、これは歯ブラシでは落とせません。

毎日の歯みがき、フロスや歯間ブラシ、定期的なPMTCの3つの習慣を示した図
どれかひとつからでも始められます

これを落とすのが、歯科医院で行うPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)です。目安は3か月から4か月に1回程度。虫歯や歯周病の予防、口臭の予防にも効果的ですし、歯の表面がツルツルになって汚れがつきにくくなります。

今日お伝えしたかったのは、歯ブラシだけではケアが不十分だという現実と、プラス1の習慣で歯を守れるということです。フロス、歯間ブラシ、電動歯ブラシ、定期的なプロのケア。どれかひとつでも構いませんので、今日から新しいケアを始めていただければと思います。

松山市駅から徒歩2分の当院でも、お一人おひとりに合った磨き方やフロスの使い方をお伝えしています。ご予約はお電話のほか、WEB予約からも承っております。

執筆者:松山中平歯科クリニック 中平賢吾