夏に増える「お口の乾き」にご注意を。ドライマウスが招くトラブルと毎日できる対策
7月に入り、本格的な夏がやってきました。暑い日が続くこの季節、患者さんの中には体調だけでなく、お口の中の乾きに悩まされる方が増えてくる印象があります。
こんにちは。松山中平歯科クリニックの中平賢吾です。「喉が渇く」という言葉はよく耳にしますが、実はそのとき、お口の中も乾いてしまっていることをご存じでしょうか。今回は、夏に起こりやすい「口腔乾燥(ドライマウス)」のメカニズムや、それが引き起こす問題、そしてご家庭でできる対策についてお話ししていきます。
目次
なぜ夏に口の中が乾くのか
唾液が減ると起こる、お口のトラブル
サラサラ唾液とネバネバ唾液の違い
中高年に増えるドライマウスと、全身の病気との関係
今日からできる「お口の乾き」対策
まとめ:気づかないうちに進む前に、定期的なチェックを
1. なぜ夏に口の中が乾くのか
夏に口が乾く一番の理由は、発汗量の増加です。汗をかくことで体の水分が失われると、その結果として唾液の分泌も減ってしまいます。
体は、汗を出すと体内の水分量が減りすぎないように調節しようとします。その働きの中で唾液の分泌を抑えるため、お口が乾いてしまうのです。「夏は冬ほど乾燥しない」と思われがちですが、意外にも夏は口腔乾燥のトラブルが起きやすい季節なのです。
さらに、年齢を重ねた方やお薬を飲んでいる方は、もともと唾液の分泌量が少ない傾向にあります。こうした方は、夏は特に注意が必要です。体全体の水分バランスが崩れると、お口にもしっかり影響が出てくるということですね。
2. 唾液が減ると起こる、お口のトラブル
唾液は単なる水分ではありません。お口の中を清潔に保ち、歯を再石灰化し、細菌の繁殖を抑えるなど、とても重要な役割を担っています。
ですから、唾液が減ると、乾燥そのものの不快感だけでなく、虫歯や歯周病のリスクが高まってしまいます。入れ歯を使っている方であれば、装着感が悪くなって痛みが出たり、口臭が強くなったりすることもあります。
実は、唾液のことだけでも何時間でも話せてしまうくらい、唾液はお口にとって大切な存在なのです。
3. サラサラ唾液とネバネバ唾液の違い
唾液には、サラサラした唾液とネバネバした唾液の2種類があります。
緊張しているときなど、交感神経が優位になっているときは、粘りのある唾液になりやすくなります。逆に、リラックスしているときはサラサラした唾液が出やすくなります。暑くて疲れているときも、ネバネバした唾液になりやすい傾向があります。
つまり、お口の中に粘りを感じたときは、少し要注意のサインとも言えます。普段との違いに気づけるようになると、ご自身の体調を知る手がかりにもなります。
4. 中高年に増えるドライマウスと、全身の病気との関係
日本では、特に中高年以降の方でドライマウスを訴える人の割合が、年々増えています。ある研究によると、65歳以上の4人に1人がドライマウスの症状を自覚しているとされています。
特に、糖尿病の方、高血圧などの持病がある方、血圧を下げるお薬を服用している方などは、その傾向が顕著に現れます。歯周病が糖尿病と関連が強いことはよく知られていますが、お口は体とつながっている、いわば全身への入り口です。乾燥という現象も含めて、お口は全身と密接に関わっている場所なのです。
「ドライアイ」は気にしていても、「ドライマウス」という言葉はあまり意識したことがないという方も多いと思います。ドライマウスの方は、「喋りづらい」「物が食べづらい」「口の中がヒリヒリする」「炎症が起こりやすい」といった自覚症状から気づかれるケースが多くあります。唾液には食べ物をまとめる役割もあるため、飲み込みにも関わってくる大切な存在です。
5. 今日からできる「お口の乾き」対策
口の乾きの対策として、まず大切なのはこまめな水分補給です。
このとき、冷たいお茶やコーヒーではなく、できれば常温の水が理想的です。ただし、暑くて熱中症になりそうなときは、もちろん冷たいお茶で体を冷やすことも大切です。状況に応じて使い分けながら、お口の乾きを潤すという点では水がおすすめです。
また、唾液を積極的に出すために、唾液腺を刺激するガムやタブレットを使うのも有効です。当院では、ご自身の唾液が減っているかどうかを実際に測ることもできますし、乾燥の程度に応じた口腔ケア製品や保湿ジェルの使い方をご指導することも可能です。普段あまり意識していなかった方ほど、「唾液を測る」という方法があることに驚かれます。
6. まとめ:気づかないうちに進む前に、定期的なチェックを
乾燥に伴って、虫歯や歯周病も進みやすくなってしまいます。そうした問題が進むと、被せ物や入れ歯、場合によってはインプラントが必要になるケースもあります。
もちろん、そうなっても治療ができないわけではありません。当院では一口腔単位の治療として、悪くなった部分だけでなく、お口全体を含めた治療計画を立てることができます。問題が小さいうちにご相談いただければ、ご負担も少なく、最小限の介入で済むことが多くあります。
夏は熱中症だけでなく、お口の乾燥も油断できないトラブルのひとつです。気づかないうちに虫歯や歯周病が進行する前に、定期的に歯科を受診してチェックを受けていただけると安心です。皆さんも、ぜひ夏の体調管理とあわせて、お口のケアも意識してみてくださいね。
執筆者:松山中平歯科クリニック 中平賢吾
