DR.ケンゴの歯~トフル・ライフ 放送内容

当院の院長、中平賢吾先生がパーソナリティーをつとめる、ラジオ番組
「DR.ケンゴの歯~トフル・ライフ」(南海放送:「ニュースな時間」内で放送。)の放送内容のご紹介です。
2026.01.14日放送
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よろしくお願いします。 -
先生、前回は「新しい年こそ『一口腔単位』で治療を見直すベストなタイミング」というお話を聞かせていただきました。 -
はい。痛いところだけを治すのではなく、お口全体を整えることで、将来まで健康な状態を保てるというお話でしたね。今日は実際に当院に来られた50代女性のケース、「一部だけを治すのでは解決できなかった理由」を通して、どうして「一口腔単位」での治療が必要なのかをお話しさせていただければと思います。 -
お願いします。 -
この患者さんの主訴は「左下の奥歯が噛むと痛い」ということで、「そこだけを治してほしい」というものでした。 -
はい。 -
こういう患者さんは少なくありません。「痛む所だけ治してくれたらそれでいい」というお話だったのですが、実際にお口の中を検査してみると、噛み合わせが全体的に低くなっていて、右側でしか噛めていない状態でした。さらに、歯がすり減ってバランスが偏り、歯周病も進行して歯が揺れ始めていました。左下の痛みというのは、その歯自体が悪いわけではなく、全体のバランスが崩れた結果だったのです。 -
痛い場所が原因とは限らないのですね。 -
その通りです。お口のなかの状態はすべてつながっていますので、一部に無理がかかると、必ずどこかに歪みが生じてきます。 -
「噛み合わせが低い」とは、どういう状態なのでしょうか。 -
ハサミに例えると分かりやすいのですが、ハサミの付け根の部分が「顎の関節」、刃先が「前歯」だと思ってください。ハサミを大きく開いている時、つまり噛み合わせの高さがしっかりある時には、刃先である歯にはそんなに大きな力はかかりません。ただ、ハサミを閉じていくと、根元の部分に強い力がかかってきます。 -
ぎゅっと力が入る感じですよね。 -
そうです。つまり、噛み合わせが低くなればなるほど、奥歯に大きな負担が集中してしまうのです。その結果、歯が欠ける、根っこが割れる、詰め物が取れる、痛みが出るといったトラブルが起こりやすくなります。この患者さんの左下の痛みも、まさにこの負担が積み重なって起こっていたのです。 -
この患者さんは今までどういった治療をされていたのですか? -
それまでは「痛くなった歯だけをその都度治す」という治療を長年続けていたようです。詰め物を作り直して高さがまた少し低くなり、痛くなったらそこだけ削って調整をする。 -
なるほど。 -
すると今度は別の歯に負担がかかって、その歯が割れてまた部分的な治療をする……。こうして繰り返しているうちに、噛み合わせの土台そのものが壊れる「咬合崩壊(こうごうほうかい)」へ進んでしまったという状態でした。 -
部分的に治すのを繰り返していくと、逆に全体が壊れるということですか。 -
そうですね。我々は「つぎはぎでの治療」と呼んだりしますが、やはり根本的な原因を治していかなければ、問題はどんどん広がっていくことが多いです。 -
そういった状態になると、どのような治療が必要になってくるのですか -
まずはじめは治療計画を立てることです。最初に行うことは資料取りです。 -
はい。 -
前回お話ししたように、お口の中の今の状態を検査していきます。虫歯や歯周病の状態、現在の噛み合わせの状態などです。そしてレントゲンやCT、顔の写真などの撮影を行い、それらを集めて分析をします。全体的な治療計画が決まれば、まずは低くなってしまった噛み合わせを適正な位置に戻すことから始めていくことが多いです。 -
はい。 -
まず、咬合のバランスを整えていきます。噛み合わせにも「基準の平面(咬合平面)」というものがありまして、歯の並びが綺麗に整っているか、右下がりになっていないかなどを確認し、仮歯を使いながら適正な位置に戻してバランスを整えていきます。力を受け止められるしっかりした歯には被せ物を入れ、どうしても残せない歯は抜いたり、必要な部分にはインプラントを入れたりしながら、右も左も均等で無理のない噛み合わせを作っていきます。 -
一本ずつ治すのではなくて、全体のバランスを整えるんですね。 -
そうですね。まさにそれが「一口腔単位の治療」です。 -
患者さんの治療後はいかがでしたでしょうか。 -
そうですね。「こんなに何でも噛めるのは久しぶり」と大変喜ばれていました。最終的な被せ物が入る前の段階で、大半のものが噛めるようになります。そして最終的な被せ物が入ると見た目もかなり綺麗になりますので、そこでもやはり喜ばれますね。 -
嚙み合わせというのは見た目にも影響するのですね。 -
そうですね。噛めるということももちろん大事ですが、咬合高径(こうごうこうけい)、つまり噛み合わせが低くなると、口元がお年寄りのような印象になってしまいます。総入れ歯の方が入れ歯を外すと、口元がくしゃっとなりますよね。 -
ちょっと口元にシワが寄ったりするのですね。 -
そうです。噛み合わせの高さが戻ったり、唇のサポート(リップサポート)が改善されたりすることで、シワが浅く見えるようになり、皆さん喜ばれますね。 -
先生の医院では、先月お伺いした「レイフェイス(RAY Face)」も導入されていますが、こちらもかなり助けになっているのではないでしょうか。 -
そうですね。12月に導入したレイフェイスという「3D顔貌スキャナー」ですが、顔の立体データと患者さんの噛み合わせを重ね合わせることで、今の状態が詳細に分かります。従来の方法では、歯科技工士さんが患者さんの顔を見ながら被せ物を作ることはできませんでした。 -
はい。 -
写真を見て作ることはありましたが、レイフェイスを使うと、横から見た時に歯がどう見えているか、歯の出具合はどうかなどを共有できるため、より一段と完成度が高くなってきています。 -
「一口腔単位」の治療が、より高いレベルで実現できるようになったということですね。 -
はい。診断の精度が上がることで患者さんの安心感も変わってきますし、技工士さんがその場にいるような感覚で情報を共有できるので、本当にいいものが出来上がります。 -
それでは先生、最後にリスナーの皆さんへメッセージをお願いします。 -
歯の痛みというのは、その歯単体が悪いわけではない可能性があります。全体のバランスが乱れていて、そこにばかり負担がかかってしまっていることは少なくありません。ですから、今年こそは部分ではなく全体を見る治療、未来まで考えた治療というものを一緒に考えていければと思います。 -
今週もありがとうございました。 -
ありがとうございました。 -
次回は、先生が開催される若手歯科医師向けセミナーについてのお話を伺います。どうぞお楽しみに。『DR.ケンゴの歯~トフル・ライフ』、この番組は松山中平歯科クリニックの提供でお送りしました。

お話は、松山中平歯科クリニック、中平賢吾院長です。先生、今日もよろしくお願いいたします。